2017/6/22の誰かの暮らし

2017/6/22 木曜日 東京(晴れ)

 

髭が濃いので、脱毛に通っています。「美しくなりたい!」という気持ちより、「おれはいつまで剃刀負けして血だらけにならなあかんねん」と毎朝の髭剃りに辟易してしまったからです。

もう7、8回ほど照射を行ったのですが、首もとの髭はすっかり無くなってしまいました。大満足なんですけど、唯一嫌なことがあるんです。施術を行ってくれるスタッフの方が、同姓同名なんですよね。

同じ名字、同じ名前の方に、ヒゲ脱毛をされているんです。ワタナベユウタさんがワタナベユウタの髭を無くそうとしてくれているんです。この気持ち、想像できますかね。マジでどんな顔すればいいか分かんないです。

もしぼくだったら、同姓同名で口の周りが荒れに荒れたなで肩色白白髪の汚い男が「脱毛してください〜」ってへらへら申し出てきたら、「おばあちゃんが危篤で……」とか、適当な事情をつけて断ってしまうなあ。

ワタナベユウタさんにほんとうに申し訳ない。ここで謝っておきます。ごめんなさい。いつも脱毛中にお話を振ってくれるのに、愛想笑いしかできなくて申し訳ないです。

 

 

 

 

#1

思ったより人生が偶然で満ち満ちていることに気付いてそら恐ろしくなることがある。一週間に二時間くらい。発作みたいなやつ。発作を抱えて、渋谷を歩いて副都心線にのったけど、人生を変えるような偶然はありませんでした。あ、座席には座れました。

 

 

*1

 

 

#2

セックスしたい。好きな人と。

なんでみんな、無料配給みたいに恋人がいるんだよ。ここにいていいんだ、って安心感に包まれながら授業切りたい。

 

*2

 

#3

数ヶ月ぶりの友人にばったり会う。

 

優しく穏やかでひたむきな彼はとても魅力的ではあるけれど、そばにいたくないと思うことがある。

彼のいいところと自分の卑しさを比べて、憂鬱というか、とげとげしい気持ちになるからだ。

 

今日も例外ではなかった。20分ほど立ち話をして、じゃあねと別れて道を歩いていると、どうしようもない劣等感がふつふつと湧いてきた。

あんなふうに人を気遣って、まわりを安心させて、自分の目標をめざしていけるなんて、ずるいじゃないか。そういえば悪口も恨み言もまったく聞いたことがない。

ちょうど真っ赤になった夕焼けをバックに眩しく笑う彼を思い出して、心臓の奥がちくちくと痛んだ。

 

でもふと、そんな彼にも誰かをずるいと思うことはあるのだろうか、と思った。

あまり考えたくはないが彼の奥底にも何かがあって、もしかしたら私も彼にずるいと思われることがあるのかもしれない。

思い上がりのような気もするけれど、そう思うとなんだか変な感じがした。

いつか彼の本音を聞ける日は来るだろうか。

 

 

*3

 

 

#4

彼氏を好きになれないことに悩んでます。好きになれると思ってたんです、すごくいい人だしかっこいいし。

だけど今もっと好きな人がいて。これが恋愛の好き、か分からないけどすごく好き。

 

どうしたものか。

 

 

*4

 

 

#5

6/22(木)

 

バイトの帰り、駐輪場で当たり前のように料金を踏み倒してる高校生を見た。

あの、ロック部分をガン!て蹴るやつ。

私がみてるのにやるのすごいなあ

って気持ちと、

ローファー傷みそうだなあ

って気持ちだった。

 

ほんとにできるのかな?

ってほんの好奇心でやってみたら

できちゃった。だけどなんかすごく悪いとこをした気持ちになったので、もう一度ロックがかかるまで待って、それから100円を払って帰って来た。

 

今日はそんな日。

 

 

*5

 

 

 

 

#6

メンブレがすごい 寝なね

 

*6

 

#7

今日のバイト、暇だったので店の中に発生している小バエを捕まえて過ごした。1匹捕まえる事に社員が10ポイントくれる。100ポイント貯まったらまかないで瓶ビール、開けていいって言われたから頑張った。120ポイントになりました。瓶ビールおいしい!

 

 

*7

 

 

#8

久しぶりに会った友達に、何回かデートしたけど好きになれない男の子の話を聞いた。優柔不断な所が許せなくて、イライラしてデートしてもすぐ帰りたくなるらしい。そんな相手絶対だめじゃんって思ったけど、多分求められてるのはこういう答えじゃないんだろうと思って、適当に笑って頷いてた。頼んだミルクティーがどんどん溶けて水っぽくなって、ホットにすれば良かったなぁと思った。

 

 

*8

 

 

 

*1:いま、又吉直樹さんの『東京百景』を読んでいるのですが、この日記の書き手の方とはすこし違う「発作」についての描写がありました。ある種の被害妄想みたいなもので、タトゥー屋の前を歩いている時に、急に中から怖いお兄さんが出てきて、無理矢理、全然知らない大会のトーナメント表のタトゥーを彫られたらどうしよう、と本気で怯える、とか。「人生が偶然で満ち満ちていること」にまつわる発作って、どんなんだろう。

*2:無料配給みたいに恋人が居るってことはないにしろ、最近周りに「恋人居ないわ」みたいな人が少なくなった気がします。将来を考えてるのかなみんな。ちょっと前に、もうそろそろ結婚相手と出会ってなきゃやばいのかな、という話題で盛り上がりました。こわい。

*3:最近はひとを羨むのにも倦んだような気がします。それこそ自分が二日酔いでトイレにこもってる時に、すごく生産的なことをしている旨を友人がツイートしていると、おれは一体なにをしているのかと不安になります。SNSが自分と他人を比較するためのツールになってくると大変だなあと、なぜかこの日記を読んで思いました。

*4:どうしたものなんでしょう……モテの達人がこの日記に居ればぜひ何かアドバイスを……元からたいしたコメントはしていませんが、恋愛系のやつはマジで実になることが話せないです。ごめんなさい。

*5:えー、そんなんできるんですね。知らなかった。ぼくは中学生の時に針金を使ったチャリキーの開け方を学びました。あの、鉤型のやつしかできないんですけど。まだできるかな。

*6:キツくなったら寝るのが一番だと思います。おやすみなさい。

*7:12匹のコバエ。あんまり衛生的じゃないなあ! 飲食店はどこもそんな感じですかね。ビール、あんまり得意じゃないのですけれど、瓶ビールはなんか、面白いですよね。『センセイの鞄』という小説の「センセイ」がビールを注ぐのがすごく上手いらしく。美味しいビールを注げる男になりたいです。

*8:気持ち悪いことを言うかもしれないんですけど、薄まったミルクティーがほんとうに好きです。喫茶店に行くと90%くらいはミルクティーを頼むし、半分くらいまではさっさと飲んでしまい、後は本を読んだりして時間を潰します。氷が溶ける待ちの時間なんですよね。なんでだろうな。